腫瘍内科
犬のがんが増えている
ペットの高齢化が進み、心臓病、肝臓病、腎臓病、関節炎などの老齢疾患とともに、がんも増えています。その原因になっているのが、食生活や睡眠、運動量などの生活習慣です。
がんは生活の豊かさの中で増えた、ペットの現代病のひとつ。 人間と同じように、普段の生活管理をしっかり行うことで予防することが可能です。
適切ながん治療のために
がんの治療は、人間と同じように、外科療法、化学療法、放射線療法の3つが行われています。ただし、放射線や抗がん剤で延命させる治療だけが、果たして動物にとって幸せなペット医療なのでしょうか。
自分の力で歩くこと、食べること、排泄することができて、最後まで日常生活が送れることが理想的な最期かもしれません。
負担の少ないがん治療を
がん治療には、飼い主さまのがんに対する意識や理解、費用の問題などが関わってきます。これまでは高齢化による寿命としてとらえていましたが、がん治療の有無、治療で治るのであれば、症状に合った適切な治療を行い、治らないのであれば、歩けるように、食べられるように、日常生活ができるように元の生活に戻すという、過酷な治療を行わない選択肢もあります。
「がん=諦める」ではなく、共存するという考え方もあります
がんの中には外科的に切除しないと良くならない症例もあれば、内科的に治療することのできる症例もあります。人間でもそうですが、動物たちへのがん治療では、「散歩」「食事」「排泄」などの日常生活が行えるようになるかどうかがポイントとなります。寝たきり、自分で食事ができない、常に苦しがっている、こうした状態は正常とは言えません。それを少しでも改善・緩和するために、内科的治療で可能な場合はそれを提案したり、外科的治療でないと無理な場合はそれをお伝えしたり、適切に治療方法を見極めるようにしています。
そして、「がん=諦める」ではありません。がんが転移していても、今以上にがんが大きくならなければ日常生活が送れる場合があります。また、治療することができなくても、「これ以上悪くしない」という選択肢もあります。ペット医療の進歩により、「がんと共存する」という考え方ができるようになりました。
「楽しく一緒に暮らす」という動物たちとの基本理念を守るためにも、動物たちの病状だけでなく、飼い主さまの医療費や介護の負担などを考慮し、幅広い視野でもって治療方法を提案して参ります。